「救急救命士のための          
想定訓練シナリオ集 第2版」
 



 

「救急救命士のための想定訓練シナリオ集 第2版」
ISBN978-4-908980-13-8 c3047
MainTitle  : 「救急救命士のための
                    想定訓練シナリオ集 第2版」
SubTitle   : 「国家試験問題をシュミレーションする」
医学監修  : 田中秀治
執   筆     : 橋宏幸
B5判/138頁
発行年月日:2021年08月20日(第2版第1刷)
価格(税込):2,970円

★標準テキスト第10版準拠


 
救急救命士国家試験合格のために
執筆陣が総力を結集して作成したシナリオ 59 選。
「C問題・D問題」 への応用力が身につく
受験者必携の書です。


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■第2版 はじめに■

高度なプレホスピタルケアを実践する医療従事者としての救急救命士が誕生して30年が経過した。特に,2004年 (平成16年) 以降この17年で,救急救命士の処置範囲は急速に拡大し,気管挿管,アドレナリン投与と二次救命処置の拡大が行われた。さらに,2014年(平成26年) からは,非心肺停止傷病者への輸液 (ブドウ糖溶液を含む) や血糖値の測定実施が開始された。また,2021年 (令和3年) の10月には30年ぶりに救急救命士法が改正され,救急救命士が病院内で救急救命処置を行うことができるようになってきた。
それまで救急救命士の処置は心肺停止傷病者への処置のみであったものが,非心肺停止傷病者に薬剤投与対象が拡大され,心原性を除くあらゆるショックへの輸液による蘇生,低血糖などで意識障害を伴う傷病者への静脈路確保がこれまで以上に行われるようになった。今後病院内で活躍するとなるとさらなる知識や技術が求められる。
しかし,一方で処置の場所や処置範囲が拡大するということは,現場処置時間が延伸し,救急救命士が行うべき鑑別診断はさらに広がり,これまでにない桁違いの深い医学的知識や技術が求められることになる。2021年 (令和3年) からは救急救命士の活動が病院前から病院の救急外来へと拡大し,病院内ではより深い病態への理解と迅速な処置が必要とされる。
全国の45か所ある民間救急救命士養成施設では,年間1,500人近くの救急救命士をめざす学生が養成されている。これまでと違って消防組織の現場経験を経ずに国家試験を受験するのが救急救命士養成の主流となってきている。そのような若者の現場経験を補うものの1つが現場を模したシミュレーション教育である。救急救命士養成施設では,各施設で技能評価が行われている。生徒を優秀な救急救命士として輩出するためには,より実践的なシミュレーション教育が必須である。現場での病態を理解しつつ,傷病者の背景・現在の状態を把握するために,医療人としての救急救命士教育がいま必要とされている。
救急救命士法第34条第1号,第2号及び,第4号には 「救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの」 と国家試験の受験資格について明記されているが,評価型実技試験は行われていない。それを補うものが想定問題である。
本書では,ますます難しくなる救急救命士の国家試験想定問題に対応すべく,最近の5年間の国家試験想定問題から出題されている問題をベースにして,シナリオベースシミュレーショントレーニングの資料を作成した。救急救命士をめざす学生の実力アップに,また,救急救命士国家試験突破に向けての参考書として活用してもらえれば幸いである。
本書が将来,国を支える救急救命士を志す若者のための一助となることを希望する。
2021年7月  国士舘大学大学院救急システム研究科科長・教授  田中秀治

■本書の特徴と使い方■

本書は,院外心肺停止,外因性疾患,内因性疾患の3つより構成されている。出場指令から現場での状況や所見などの情報,バイタルサインなどを示しながら,どのように対応していくかが順を追ってわかるようになっている。
シミュレーション訓練の想定として,
     @脳血管障害 :脳出血,脳梗塞,くも膜下出血
     A糖代謝異常 :低血糖,高血糖
     B熱 傷 :広範囲熱傷
     C外 傷 :緊張性気胸,心タンポナーデ,フレイルチェスト,骨盤骨折
     D環境障害 :熱中症,低体温
     E内因性疾患 :心筋梗塞,消化管出血
     F心肺停止 :心原性心停止,呼吸原性心停止
     Gショック :循環血液量減少性ショック,アナフィラキシーショック
     H多数傷病者 :大規模災害
     I産科救急疾患 :児娩出後の性器出血
     J小児救急疾患 :外傷,窒息
     K高齢者救急疾患:外傷,慢性疾患増悪
などが挙げられる。
各項目についてシナリオの例を挙げたが,本書では同様の主訴で複数の想定シナリオを用意している。バイタルサインの違いや症状の強さにより,搬送先を変更する基本的な構成になっている。これらを参考資料として,効果的なシミュレーション訓練を実施していただきたい。


■目 次■

Part T 院外心肺停止
    Scene1  │急性心筋梗塞@
    Scene2  │急性心筋梗塞A
    Scene3  │不安定狭心症@
    Scene4  │不安定狭心症A
    Scene5  │慢性閉塞性肺疾患
    Scene6  │窒 息@
    Scene7  │窒 息A
    Scene8  │肺血栓塞栓症
    Scene9  │アナフィラキシーショック
    Scene10 │熱中症 20
    Scene11 │くも膜下出血
    Scene12 │偶発性低体温
    Scene13 │慢性腎不全

Part U 外 傷
    Scene14 │緊張性気胸
    Scene15 │フレイルチェスト・緊張性気胸
    Scene16 │開放性気胸
    Scene17 │心タンポナーデ
    Scene18 │血気胸
    Scene19 │腸管脱出
    Scene20 │シートベルト外傷
    Scene21 │腹部穿通性異物
    Scene22 │頸髄損傷
    Scene23 │中心性頸髄損傷
    Scene24 │急性硬膜外血腫
    Scene25 │両大腿骨骨折
    Scene26 │骨盤骨折
    Scene27 │両大腿骨骨折(開放創)
    Scene28 │多数傷病者@
    Scene29 │多数傷病者A
    Reference │PartU 資料集

Part V 内因性疾患
    Scene30 │急性心筋梗塞
    Scene31 │冠攣縮性狭心症
    Scene32 │無痛性心筋梗塞
    Scene33 │左心不全
    Scene34 │急性大動脈解離
    Scene35 │左心不全・右心不全合併
    Scene36 │気管支喘息中発作→大発作
    Scene37 │慢性閉塞性肺疾患
    Scene38 │小児気管支喘息
    Scene39 │十二指腸潰瘍
    Scene40 │肝硬変
    Scene41 │胃・十二指腸潰瘍穿孔
    Scene42 │尿管結石
    Scene43 │急性腎盂腎炎
    Scene44 │急性腎不全(高カリウム血症)
    Scene45 │脳梗塞
    Scene46 │くも膜下出血
    Scene47 │左被殼出血
    Scene48 │低血糖
    Scene49 │急性医薬品中毒
    Reference │PartV 資料集

Part W Assort
  ●意識障害
    Scene50 │小脳出血
  ●環境障害
    Scene51 │熱中症@
    Scene52 │偶発性低体温
    Scene53 │熱中症A
  ●熱 傷
    Scene54 │熱 傷
  ●電撃症
    Scene55 │電撃症
  ●産 科
    Scene56 │急遂分娩
    Scene57 │新生児仮死
    Reference │PartW 資料集


■医学監修
   田中 秀治      国士舘大学大学院救急システム研究科科長・教授
■執 筆
   橋 宏幸      国士舘大学体育学部スポーツ医科学科准教授
□執筆協力(五十音順)
   秋濱 裕之      明治国際医療大学保健医療学部救急救命学科教授
   芦沢    猛      国士舘大学体育学部スポーツ医科学科准教授
□編集協力(五十音順)
   井上 拓訓      国士舘大学大学院救急システム研究科助手
   坂梨 秀地      国士舘大学大学院救急システム研究科助手
   沼田 浩人      国士舘大学体育学部スポーツ医科学科助手
   柳    聖美      明治国際医療大学保健医療学部救急救命学科助教
 
 

 
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